去年の展示会で、私はある競合ブースの前で15分も突っ立っていました。何を見ればいいか分からなかったからです。結局メモしたのは「派手だった」「人が多かった」くらい。会場を出てから、これじゃ何の役にも立たないと気づきました。

展示会は自社ブースの接客だけで手一杯になります。でも競合ブースは、次の商談化件数を増やすための材料が転がっている場所でもあります。正直、地味な作業です。でも見るべき場所さえ決めておけば、5分で終わります。

見るのはパネルではなく「呼び込みのセリフ」

私が最初に見るのはブースの装飾ではありません。キャッチセールスがどんな一言で足を止めさせているか、です。パネルはあとで写真を撮ればいい。でもセリフはその場で聞かないと分かりません。

実際に足を止めて、担当者がどう話しかけているかを聞きます。例えばこんな感じです。

「今のシステム、他部署ともう連携できてます?」

この一言だけで、狙っている顧客の課題感が分かります。「連携できていない会社」を前提にした声かけなら、ターゲットは中堅以上で複数部署がある企業だと推測できます。逆に「まだ紙で管理されてます?」のような一言なら、狙いはもっと小規模な現場です。

で、どうするか。競合のセリフをそのまま自社に持ち込む必要はありません。でも「どの言葉で相手が止まったか」は必ずメモします。止まった人が多い言葉は、その場にいる来場者の共通の悩みだからです。うちの声かけにも応用が効きます。

資料は「持ち帰り用」と「その場で見せる用」を分けて見る

次に見るのは配布資料の種類です。持ち帰り用のパンフレットと、その場でタブレットや紙で見せているものが違う会社は、商談化への設計ができています。

判断の分かれ目はここです。持ち帰り資料しかないブースは、名刺交換をゴールにしています。その場で見せる資料がある会社は、その場で次のアポを取ろうとしています。もし競合が後者をやっているなら、うちも「その場で見せて、その場で日程を決める」動線に寄せるべきです。逆に会場の客層が検討初期の人ばかりなら、無理にその場アポを狙わず、まず持ち帰り資料の質を上げる方に力を入れます。

当社の場合、展示会1回あたり平均20件の商談化を実現しています(当社支援案件・2026年時点の実績値、設計込みで支援した場合)。この数字は名刺の枚数ではなく、次回商談の日程が確定した件数です。競合ブースを見るときも、私はこの一点で見ています。名刺を何枚配ったかではなく、その場で次の予定が決まっていそうか、です。

スタッフの動き方で「営業代行を使っているか」が分かる

もうひとつ見るのは、スタッフの立ち位置と人数です。ブースの外側に立って呼び込みだけする人と、中でヒアリングする人が分業されている会社は、営業代行や外部人材を入れている可能性が高いです。逆に少人数で全部兼任しているブースは、社員だけで回している現場です。

で、どうするか。分業されているブースを見つけたら、そのブースの「呼び込みから着席までの時間」を測ります。もし1分以内で着席まで持っていけているなら、トークスクリプトがかなり練られています。うちのスタッフにもその型を共有します。逆に立ち止まっても3分以上世間話が続いているブースは、まだ設計段階です。真似する必要はありません。

ちなみにテレアポの世界でも同じことが言えます。当社がリスト設計を見直した案件では、アポ獲得率が0.6%から3.2%まで上がりました(当社支援案件・2026年時点の実績値、好調案件でのデータです)。展示会もテレアポも、結局は「誰に、どの一言を、どの順番で言うか」の設計次第です。派手な演出より、この地味な設計の差が数字に出ます。

AIツールを使っているブースは「運用まで回っているか」を見る

最近は競合ブースでもAIを使った来場者管理やチャットボットを見かけるようになりました。ここで見るべきは、ツールがあるかどうかではなく、実際にスタッフがそれを見ながら動いているかどうかです。

画面が置いてあるだけで誰も触っていないブースは、試作段階で止まっています。逆にスタッフがタブレットを片手に、その場で顧客情報を入力しながら会話しているブースは、運用まで回っている証拠です。当社が支援したAI開発案件では、試作から本番運用への移行率は82%です(当社支援案件・2026年時点の実績値)。ここまで来て初めて現場の武器になります。競合がこの段階に来ているかどうかは、展示会の場で正直に見えてしまいます。

最後に。競合ブースを分析するのは、真似するためではありません。自社が次の展示会で「商談の日程を確定できる件数」を増やすための材料集めです。派手な戦略より、こういう地味な観察の積み重ねが効きます。

  • 競合ブースの呼び込みセリフを3つメモする
  • 止まった来場者の数が多かった言葉を書き出す
  • 持ち帰り資料とその場提示資料の違いを確認する
  • 呼び込みから着席までの時間を測る
  • スタッフの人数と分業体制を記録する
  • AIツールが実際に稼働しているか画面の前で確認する
  • 会場を出た当日中に自社ブースの動線と比較して1点だけ改善案を決める

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