展示会の後、あるクライアントの担当者からこう聞かれました。
「ChatGPT、社内で使っていいことにはしたんですが、ルールって何を決めればいいんですか?」
正直、私も最初は同じところで詰まりました。禁止事項を細かく決めようとして、結局誰も読まない社内文書を作って終わる。これ、あるあるです。TSUNAIDEでもAI開発を柱のひとつにしているので、社内でChatGPTを使う場面は毎日あります。営業代行のトーク設計、展示会の来場者フォロー文、議事録の整理。使う場所はたくさんあるのに、ルールを決めようとすると急に手が止まる。理由は簡単で、最初から完璧なルールを作ろうとするからです。私は今、最初に決めるのは3つだけでいいと思っています。
1つ目:入力していい情報の線引き
これが一番大事です。ここを曖昧にすると、後で何も使えなくなります。私が現場で引いている線は単純で「社外に出た瞬間に困る情報かどうか」です。
顧客の会社名、個人名、契約金額、未公開の商談状況。これは入力しません。逆に、業界の一般的な課題感や、こちらが公開資料として出している内容は入力してOKにしています。判断の分かれ目はここです。
迷ったときの基準は「これ、名刺交換した相手にそのまま見せられるか」。見せられないなら入力禁止、見せられるなら使ってよし。この一言をルールの一番上に書くだけで、現場の迷いはかなり減ります。
2つ目:誰が最終チェックをするか
AIが作った文章をそのまま送るか、人がチェックしてから送るか。ここも最初に決めておくべきです。
私の判断基準はシンプルで「社外に出るものは必ず人が見る」。展示会後のフォローメールも、営業代行のトークスクリプトも、AIが下書きを作った後、必ず担当者が目を通してから使います。逆に、社内向けの議事録の要約や、自分用のメモ整理は、AIの出力をそのまま使ってOKにしています。
ここで手を抜くと、AIが作った不自然な言い回しがそのままお客様に届いてしまう。実際、私も一度、AIが作った提案文をそのまま送りそうになって、直前で「これ、私だったら絶対こう言わない」と気づいて止めたことがあります。地味ですが、この一手間が信頼を守ります。
3つ目:何のために使うかを1つだけ決める
ルールを作るとき、みんな「何にでも使えるようにしよう」とします。これが失敗のもとです。最初は用途を1つに絞るべきです。
当社の場合、最初に決めたのは「展示会後のフォローメールの一次案作成」でした。ここに絞ったからこそ、3週間で運用が定着しました。用途を広げすぎると、誰も使わないまま終わります。
判断の分かれ目はこうです。すでに毎日発生している定型作業があるなら、そこから始める。逆に、まだ手順が固まっていない業務にAIを入れようとすると、高確率で混乱します。当社のAI開発支援では、試作から本番運用への移行率が82%という実績値があります(当社支援案件・2026年時点の実績値です)。これも、最初の用途を絞り込んでから広げた案件がほとんどです。
ルールは増やすものじゃなく、削るもの
ここまで3つ書きましたが、正直、これ以上は最初に決めなくていいです。むしろ、運用しながら「これは要らなかった」と削っていく方が現実的です。
展示会支援の現場でも同じことが起きます。私たちが大切にしているのは、名刺の枚数ではなく「次回商談の日程を確定できた件数」。ルールも同じで、数を作ることが目的ではありません。現場で実際に使われて、次の一歩につながるかどうか。それだけです。
- 社外秘情報の入力可否を1枚の紙に書き出す
- 「名刺交換した相手に見せられるか」を判断基準として共有する
- 社外に出る文章は必ず人が最終確認する運用にする
- 最初にAIを使う業務を1つだけ選ぶ
- 選んだ業務で2週間試して使用感を記録する
- 使われなかったルールを月末に削る
- 担当者ごとに迷った事例を週1回共有する
